治療のご案内

ワールドスタンダードの治療方針と時代に沿った治療を患者様の為にご提供出来るよう努めています。

1)再生医療とは

再生医療とは、人が生まれながらにして持っている「自然治癒力」を利用した治療法になります。
再生医療というと、【iPS細胞】という言葉が思い浮かぶ方が多いと思いますが、人間の皮膚や骨・靭帯・アキレス腱・腱鞘炎・歯槽骨・半月板など、身体のあらゆる組織の再生を信じて各大学病院などで再生医療に関する様々な試みが日々なされています。

私たちの住む日本では、再生医療の安全性確保等に関する法律(再生医療新法)が2013年11月20日成立、11月27日公布、2014年11月25日施行されました。
この法律により日本の再生医療は3種に分類され、大まかに言うと、1種はiPS細胞や滑膜幹細胞、2種は血液加工物の関節内投与、3種は血液加工物の関節外投与と定義されました。
この法律によって国の審査を受け、①安全性が担保された治療についてのみ、②許可された施設のみで、③許可された医師のみによって施行することが法律で義務付けられました。

2)当クリニックの再生医療について

当クリニックは、PRP療法及び第2世代のPRPと言われているPRF(※注.①)に早くから着目し、2015年10月に本邦で初めて認可が取得されて以降、膝関節鏡の半月板修復手術、難治性の腱炎の治療の際に使用しています。
PRF(Plate-Rich Fibrin)とは、PRPの仲間で、第2世代のPRPと呼ばれています。
これはグミのようなゼリー状をしており膜状に加工したりすることで、日本でも歯科領域のインプラント等にも広く用いられています。
当クリニックの院長は、杏林大学病院時代に膝スポーツ班に属し膝関節鏡を専門とし、同時に半月板移植の研究も行ってきた経緯があり、この新しいPRFを使用した半月板修復術を考案しました。
これは全国でも初の試みで、自分の血液を使用した治療なので安価で安全な非常に期待のできる治療と考えております。現在のところ約25症例にこのPRPとPRFを用いた半月板修復術を試行しておりますが、全ての症例において非常に良好な結果を得ております。(現時点で副作用はほとんどありません。)
さらに、2018年6月1日付で、変形性ひざ関節症に対するPRPの関節内投与の認可も新たに取得し、治療を行なっております。

特定細胞加工物施設認可番号:FC 3170080
第2種 半月板断裂を対象とするPRPおよびPRF の関節内半月板への投与 (計画番号:PB3150009)
第2種 変形性ひざ関節症に対するPRP関節内投与 (計画番号:PB3180007)
第3種 創傷治癒を目的としたPRPの関節外投与 (計画番号:PC3150033)

3)PRP(Plate-Rich Plasma)療法とは

血液に含まれる細胞成分の一種である血小板には、主に「血液を固める働き」と、「壊れた組織を修復する成長因子を出す働き」があります。
自分の血液を遠心分離にかけることで血小板を濃縮し、その血小板に含まれている成長因子を濃縮したPRP(多血小板血漿)を自身の体の傷んでいる部分に注入することで、ヒトの治癒力を極限まで高めたり損傷した組織の再生を促進させようという理論です。
つまり、自分の血液中に含まれる傷んだ身体を治す成分を取り出し、濃縮し、自身の体内に戻し自然治癒力により再生させるというものです。
この治療法は2000年ごろから欧米を中心に広く行われてきました。自分の血液を利用するため安全性が高く、現在では欧米のスポーツ選手は怪我をするとすぐにPRP療法を受けたりするようです。

ニューヨークヤンキースの田中将大投手や、最近ではエンジェルスの大谷翔平投野手が投与されて手術を回避したと報道され一躍脚光を浴びたのも、このPRP療法になります。
当クリニックでは上記2選手の行ったものとほぼ同様の治療が出来ます。

4)PRP療法2種とは

当クリニックでのPRP2種治療としては、簡単にいうと血液加工物(PRP)を関節内に投与するPRP療法の事を指します。
主に関節の中にPRP製剤を入れ膝の関節軟骨や、半月板の治療に用います。
最近テレビなどで紹介され話題になった、半月板損傷でお悩みの若い人たちや、変形性膝関節症で軟骨がすり減ってしまったお年寄りたちに対する治療がこれに該当します。

5)PRP療法3種とは

血液加工物を関節外に投与するPRP療法の事を指します。
アスリート(※骨端線が残っているような青少年は対象外ですが)のような、スポーツをガンガンやっていて靭帯損傷や腱損傷、靭帯炎で困っている若い方に対して、PRPを患部(腱や靭帯、筋肉内)に打ってリハビリしながら行う治療がこれにあたります。
※これは現メジャーリーガー大谷選手がやった治療です。

6)治療の流れ

① 採血してPRPを作成します。この間30分程。

② 患部にPRPを注入します。エコーで注射する部位を観察しながら患部を中心にPRPを注入し散布していきますが、損傷した腱や靭帯そのものにも注入する方が効果ある為、その腱や靭帯のような緻密結合組織に圧をかけて注入することになり激痛を伴います。

③ まれに歩けないほどの痛みを感じる方もいるようですが、通常は10分ほど休めば徒歩で帰宅して頂けます。

④ 当クリニックの治療法は、特に注射後に固定をしたり安静を指示することはありませんが、あまり激しい運動は控えて頂いております。

⑤ あまりにも痛い場合には鎮痛剤を処方しますが、炎症を起こして患部を修復させる作戦のため、消炎鎮痛剤の併用はオススメしておりません。

⑥ 2回目のPRP投与を約3週間後に行います。その間は引き続きリハビリテーションに通って頂いた方が良い結果が出ています。

⑦ グラフ(図1-a)に示すように、様々な疾患でも、2回投与法で疼痛の軽減が認められております。
最終評価でも機能評価で優位な改善を認められました(図1-b

⑧ 疾患によっては、疼痛とエコー所見で修復傾向を確認しつつ運動の許可が出ます。

⑨ 現時点において、学会レベルではアキレス腱の硬結を伴う陳旧性のアキレス腱炎にはPRPは効果が無いと言われておりますが、当クリニックの白血球に富むLR-PRPを用いた2回投与法(図4)では、まだ、症例数は少ないながらも、良好な治療結果が認められております。

⑩ 半月板修復に関しては、術後6ヶ月もすると、図のように半月板が修復していることが確認できます。
縫い込んだPRF(第二世代のPRP)が半月板を修復し、縫合糸は既に役割を果たしてない程に緩んで見えています(図2)。

7)改善促進が期待できる症状

  • 腱鞘炎
  • 足底筋膜炎
  • アキレス腱炎
  • 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
  • 変形性膝関節症
  • 半月板損傷
  • 難治性の腱炎

※人工関節と言われている方も諦めずにご相談ください。

8)当クリニックのPRPひざ関節内注射について

変形性ひざ関節症に罹患した人を対象とします。 
程度の差はあれ、ひざ関節内には炎症がおき、滑膜の増生や、軟骨表面の毛羽立ちから損傷、そして欠損、軟骨下骨の露出、象牙質化まで様々な状態を呈していると思われます。同時に、半月板も損傷している状態もあり得ます。 
PRPの関節内注射に効果については、人によって様々で注射した次の日から良くなったという人もいれば、3ヶ月位で良くなったという人もいます。一方で、打って悪くなったという方は今のところはおりません。
このように、現時点で効果があることはわかっておりますが、その種類や投与量、投与間隔等々、どのやり方が最適なのかを各施設が模索しているのが現状です。

そんな中、当クリニックが開院以来行っている「ひざ関節内へのヒアルロン酸注射」は一定の間隔でヒアルロン酸を継続投与することにより、非常に多くの患者さんの疼痛コントロールに効果が認められました。

先駆けて行ってきた「PRFおよびPRPを用いた半月板修復術」では、半月板修復の手術の際に投与するPRPとPRFの副次的効果として軟骨への効果も認める一方、術後の重篤な副作用や、一般的に言われている投与時の疼痛や腫脹等の副作用の発現もなかったことから、当クリニックの治療方針は決定されました。 今後さらに、症例を重ね、より効果のある投与方法を確立していく必要があると考えています。

PRPは白血球が多く含まれる「LR-PRP」と白血球がほとんど含まれない「LP-PRP」があります。 
白血球成分含有についての是非の議論もありますが、当クリニックは、陳旧性のアキレス腱炎やリスフラン関節靭帯炎などの「陳旧性の腱炎に対するPRPの治療」の中で、白血球含有の多いLR-PRPを使用しており、良好な治療成績を認めています。 
一方で、白血球含有の少ないLP-PRPは陳旧性の腱炎への効果は少ないという文献報告もあることから、急性期にはLP-PRP,慢性期にはLR-PRPの使用が適切と考えています。

創傷治癒に欠かせないマクロファージ(※注.②)という因子は、白血球に多く含まれています。
これは、自己由来ですので、特殊な疾患でもない限り、自分自身を攻撃することはありません。変形性ひざ関節症は、基本的には加齢や酷使によりひざ関節内の組織が傷んでしまっている状態です。その傷んだ組織を自己修復するために必要なマクロファージは充分にあることが絶対条件ですが、充分過ぎることで、過剰に機能して自分自身の組織を攻撃するようなことはありません。
私の考えとしては、先ず怪我した部分・壊れた部分をマクロファージが食べることによって、きれいにして下地を作り、そこに新しい組織が再生されると考えているので、必要なものだと考えています。

9)費用について

このPRP治療は保険診療の適応外となっておりますので自費治療となります。
当クリニックでは、膝関節内注射(PRP2種)は1回のPRP注射を5万円とし、当面4週おきに連続6回(月1回の投与を半年間継続)、計30万円。
(PRP3種)腱炎等のPRP注射は2回投与法(2回目を1回投与後3週で投与)で、2回で計4万円(検査代込み)となっております。(※2018年8月時点)
※効果は人によって異るので、確実な効果を保証するものではございません。
仮に変化がなくても治療後の返金には応じられませんのでご了承ください。

現状、PRP療法1回の治療に15万円、30万円、60万円とかなり高額な幅があります。
※因みにアメリカでのPRP平均価格は714ドル(約8万円)で、満足率は70パーセントという2018年の報告があります。

そんな中で、当クリニックではPRP療法1回の治療を5万円で行っております。
安すぎて怪しいとの御意見も御座いますが、それは通常の施設ではPRPを作成する為の設備がなく、閉鎖式回路のような高価な器具を使用、もしくは、その都度高額なキットを購入しざるを得ない為、治療費も高額になりがちです。
しかし、当クリニックにはクラス10000のクリーンルーム並みのオペ室内の、クリーンベンチという滅菌装置の中でPRPを作成することが出来るので、膝関節内注射1回5万円という金額での治療を可能にしました。(当院は初期の段階から、この一連のやり方で認可を取りPRP療法を行っております。)
また、それを可能にする為の知識を学び、学術活動、スタッフ教育を行い、日本整形外科学会への論文発表と日々努力を重ねています。

10)実際にPRP療法を受けるには

適応の条件がございます。重篤な合併症や、自己免疫疾患等に罹患している方、骨端線が残存している青少年への投与は適応外となります。
まず、一度通常診察に来て頂き、PRP治療に必要な検査を受けて頂きます。
各種検査の後、PRP治療をご希望の患者様には治療内容を詳しくご説明し、ご理解頂けましたら治療日程を決めます。
※初診時に必ずPRP治療ができる訳ではございませんので、その点をあらかじめ御了承ください。

11)よくあるご質問

Q.どういった症状の患者さんにPRP療法が有効ですか?

  • 何度もヒアルロン酸を打ったけれど痛みが止まらない方。
  • 人工関節にする程じゃないけれどいつも注射を打っている方。
  • いつも膝に水が溜まっている方。

上記の症状の方にはお勧めです。とにかく痛みや、重い感じが取れるとおっしゃって頂いています。
現時点で150例施行していますが、今のところ副作用は全く見られません。

Q.PRP療法は通常の治療に比べどんなメリットがありますか?

  • ある程度軟骨がすり減ってしまった方に対し、今までの治療法では軟骨が再生するのは困難と言われておりましたが、PRPを関節内に打つことにより良好な繊維軟骨の形成が確認されています。
  • 半月板の修復も良好な肉芽組織で覆われているのが確認されています。

『専門的には軟骨欠損で下地の軟骨下骨と言うのですが、それが露出しているので痛みが出るのです。その痛みの原因を取り除くには何も、元どおりの硝子軟骨・半月板細胞で再生する必要はなく、痛みの原因・機能障害の原因にならないように、例えて言うならパテ埋めができればいいわけです。(車の塗装のように下地がむき出しになったままでは、錆びてしまうように。)』

Q.PRP療法が出来ない人はどういう人ですか?

  • 癌、リウマチ、自己免疫疾患で投薬を受けている方。
  • 骨端線が残っているような中学高校生以下の方。

Q.PRP療法はどの位の期間で効果が表れますか?

  • 治療箇所によって変わりますが、半月板修復に関してでは、術後約3~4ヶ月で日常生活に支障なく、ほぼ元の生活に戻れています。(※効果は人によって異るので、確実な効果を保証するものではございません。)

12)最後に当クリニック院長より

我々のLR-PRPの治療においては、疼痛が増強したり、明らかな身体を害する所見は全く認められなかったことからも、陳旧性の治療にはLR-PRPの使用で問題はないと考えています。
また、白血球の少ないPRPを作成するには市販の特殊なキットを用いなければならず、この非常に高価なキットを使用することは、結果として高価な治療にならざるを得ず、患者さんの負担増に直結します。

PRP治療の最大のメリットは、自己由来であるがゆえの安全性かつ費用対効果の高さです。
つまり、安全・安心・安価であるべきなのです。

今後、症例を重ねていくことで、より長期間の治療が必要になることもあるかもしれませんし、反対により短期間の治療となることもあるかもしれません。

各施設で様々な治療のプロトコールがあると思われますが、再生医療新法に則って認可を受けた施設であれば、安全性確保の法律に基づいておりますので、大きな問題はないと思われます。

最後に、PRP治療をご希望される患者さんは、治療に関してよくご理解して頂いた上でご自身にあった治療を選択されることをお勧めいたします。
現時点では自費診療の為、高額の治療になりますが、当クリニックはしっかり診察、しっかり説明、しっかりフォロー致します。

この治療法に関してご質問など御座いましたらお気軽にご連絡ください。

(※注.①)PRFとは?

PRFとは、PRPの仲間で第2世代のPRPといわれています。
それまではPRPというのは液体成分の為、注射療法のみしか使えませんでした。その為に注射しても患部内ですぐになくなってしまいます。例えば、服薬を何か溶媒(砂糖みたいな物)に染み込ませて飲ませて使うように…。

そこで、フランスのチョークロンという人が遠心分離の方法を研究し、その結果血小板を濃縮させてゼリー状に生成する方法を編み出しました。
それを圧縮すると強固なグミのような物になり、内部にはPRPと同等或いはそれ以上の成長因子が含まれていることが分かりました。
しかも、生成方法はほぼパターンが決まっており、PRPのように様々な回転数の生成法による成分の不一致というものが無く、第2世代と言われています。
しかし、現時点ではようやくPRPが注目されはじめている段階のレベルなので、PRFの治療が広く知れ渡るのは、未来の話になると思われています。

現在、液状のPRPを様々なファイバー繊維などにしみこませるなど工夫をして、半月板縫合に使う治療もありますが、当クリニックでは、歯科のインプラントで使用していたPRFに着目し、いち早く半月板治療に取り入れました。
その結果、これまでの注射療法に比べても良好な結果がもたらされております。
最近複数のメディアで紹介されて以降、PRP療法への注目が集まってきておりますが、今後PRFも必ず注目される日がくると思います。

(※注.②)マクロファージとは?

マクロファージとは、好中球から派生する貪食細胞で、いわゆるアメーバー状のお掃除屋さんのイメージのようなものです。

図1-a

痛みは2回目PRP施行後は平均0.4mmへ改善(P<0.05)

2回投与法で疼痛の軽減

図1-b

足関節機能評価はPRP施行後 有意に改善 (P<0.05)

修復傾向

図2

術前および術後8ヶ月

PRP療法術後8ヶ月

半月板の欠損部分にPRFを挿入ししっかりと縫合した。9ヶ月後に半月板は修復され、しっかりと縛られていた縫合糸は緩んでいるように見える。

PRP療法術後9ヶ月

図3

PRFを縫い付けた半月板の断裂部は修復し、縫い付けた縫合糸が露出している。

PRP療法術後写真1 PRP療法術後写真2 PRP療法術後写真3

図4 アキレス腱炎

(初診)

PRP療法 アキレス腱炎1

PRP投与3週後(血流著明増加)

PRP療法 アキレス腱炎2

PRP投与4ヶ月後 効果不十分にて PRP追加投与2回目(右PRP②)

PRP療法 アキレス腱炎3

PRP投与2回目より7週後(硬結縮小)

PRP療法 アキレス腱炎4

PRP2回目投与4ヶ月後(右END)

PRP療法 アキレス腱炎5

(左PRP①)

PRP療法 アキレス腱炎6

PRP投与後3週目 2回目PRP施行(左PRP②)

PRP療法 アキレス腱炎7

(左PRP②後3M2wks)

PRP療法 アキレス腱炎8